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Ⅲ. 近代

「大衆」の概念が現在の意味で用いられるようになったのは昭和初年で、これは在来文化にない伝達テクノロジー(メディア)が飛躍的に拡大したのと期を一にする。「大衆文化」とは語義にさかのぼれば昭和の産物に他ならない。映画がトーキー化し、録音が電気化し、ラジオが中・上流家庭より普及し、報道や広告写真が大量に印刷され、安価な文学本(円本)が競われ、雑誌部数が増した。こうした変革は中期的歴史で見るなら、明治以来の近代化の帰結で、現在もかたちを変えつつ変奏されている。「近代チーム」は大衆文化の成立を含む近代化を画像、浪曲、映画、音響などの分野に限定して、その歴史的特徴を見ていこうとしている。大きな理論的成果より小さな場面の動きをしっかり追いかけることを基本態度としている。
(前代表・細川周平 国際日本文化研究センター 名誉教授、現代表・劉建輝 国際日本文化研究センター   教授

近代チームからのひとこと

この組織では明治から終戦あたりを「近代」と称しているが、同時代にはそんな区分なしにこの言葉は使われていました。そういう同時代の「今どき」の感覚をひもときつつ、21世紀から遠望する(結果がわかっている)歴史家の視点を確保したい。
細川 周平(名誉教授

音響と聴覚の文化史

細川の共同研究班(2017~2019年度)は音響と聴覚の文化史を扱い、仲間うちでは「音耳班」と呼んでいます。音楽は聴こえる音の一部にすぎず、主要なテーマではありません。録音テクノロジーやサウンド・アート、生活音、視覚にともなう音響や動物にとっての音、音の哲学などを扱っています。
(代表・細川周平 国際日本文化研究センター 名誉教授)

主要メンバー

長門洋平(立教大学 助教

サブチーム1:浪曲班

2016年6月から日文研所蔵の浪曲SPレコード1万枚のデジタル・アーカイブズ構築を目的としています。明治30年代から昭和30年までに出版された浪曲レコードをほぼ網羅するコレクションの音源・レコードレーベル画像のデジタル化を進めており、2017年8月末現在、音源2000枚分と全レーベル画像のデジタル化を終えました。レコード以外にも浪曲師番付や公演ポスター、関連書籍の収集、2016年10月に主催した公演の記録音源の保存、浪曲師及び関係者への聞き取り調査等にも取り組んでいます。
(代表・古川綾子 国際日本文化研究センター 特任助教)

メンバー

真鍋昌賢(国際日本文化研究センター/客員教授)

サブチーム2:画像班

日文研は、創設以来、映像音響資料の収集に努めてきた。その中には、絵葉書約14,500枚、旅行案内約1,600点、生写真約2,000点が含まれ、現在もコレクションの充実化が進行している。これらの画像資料を対象に、その多種多様な文化や社会表象について新たな視点による再検討を試みてみたい。
(代表・劉建輝 国際日本文化研究センター   教授)

メンバー

井上章一(国際日本文化研究センター教授)
石川肇(国際日本文化研究センター助教)
前川志織(国際日本文化研究センター特任助教)
白幡洋三郎(国際日本文化研究センター名誉教授)
山口記弘(東映太秦映画村 株式会社東映京都スタジオ 代表取締役社長)

サブチーム3:風俗班

共同研究会「近代東アジアの風俗史」と連携を図りつつ、近代東アジア諸地域における衣食住、生活風俗の推移を近代日本におけるそれと比較検討し、諸地域の西洋化にはどのような差異あるいは特性があったのかを検討する。

(代表・井上章一  国際日本文化研究センター所長、劉建輝 国際日本文化研究センター   教授)

サブチーム4:スポーツ文化班

共同研究会「文明としてのスポーツ/文化としてのスポーツ」と連携を図りつつ、野蛮と対置される文明としてのスポーツ、一国のなかで文化として展開したのち異種文化と遭遇しそれを契機に変化していったスポーツという2種のスポーツを念頭におきながら、近代日本の大衆文化と関わりの深いスポーツに関わるさまざまな事例を検討する。

(代表・牛村圭 国際日本文化研究センター 教授)