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2018年9月の「日本大衆文化シリーズ講座in北京」教育プログラム動画を公開中!!

2018年9月に北京で行われた日本大衆文化シリーズ講座の映像を公開いたします(大塚英志教授の講義「戦時下東宝映画文化工作と戦後日本サブカルチャーの発生」は非公開の資料を使用しているため、動画配信をすることができません。ご了承下さい)。

 

講義1

細川周平「近代日本音楽史の輪郭」

要旨:

1853年のアメリカ軍艦(「黒船」)到来は、他の分野と同じく音楽の分野でも時代を画す出来事だった。強力な軍事力が特別な楽音の命令系統を持って機能していることを知った日本側は、積極的に学習を開始し、背後の音楽文化が科学・哲学・政治・経済などと連動した「世界音楽システム」と呼んでもよい括りであることを学んだ。それはおよそ次の特徴を持っていることを少しのうちに学んだ。1)数理的構造(平均律音階)、2)記号の支配(楽譜)、3)公共的教育体制(学校)、4)自律美学(美そのもの)、5)公開演奏会、6)国家・民族主義(国歌、国家の代表・象徴)。この授業ではこれらの受容のさまざまな局面を概観し、音楽文化の近代化について考える。

 

講義2

荒木浩「投企する古典性―ブッダ・『源氏物語』・聖徳太子から考える―」

要旨:

日本古典文学は、先行する国内外の作品や叙述の型などを受け止め咀嚼し、新しい世界観やキャノン、あるいはキャラクターを生み出して、文化の重層性を形成してきた。本講座では、この構造の大枠を、投影や投げ出しの意味を持つ「投企(project)」という語で逆転的に捉え、日本の古典文学が、いかにしてその作品性や世界観を投企して展開してきたか、という視点で日本古代・中世文学を論じたい。具体的には『源氏物語』の形成に投影されたブッダの伝記のイメージについて独自の分析を行い、また光源氏のモデルともなった聖徳太子というキャラクターが担った、インド・中国文化への投企性について考察するなど、議論を展開し、「投企する古典性」という概念を検討したい。

 

講義3

小松和彦「幕末の江戸の大衆文化を覗く」

要旨:

嘉永6年(1853)、幕末の幕開けを告げる、マシュー・ペリーが率いるアメリカ合衆国海軍の蒸気船2隻を含む艦船4隻(いわゆる「黒船」)が来航し、「泰平の眠りをさます上喜撰たつた四杯で 夜も眠れず」と狂歌で囃されたように、江戸の町は大騒動となった。翌年再来航したペリーと幕府の間に日米和親条約が締結され、日本の鎖国が終わった。そんななか、安政2年(1855)10月2日、江戸の町を大地震が襲い、大きな被害がもたらされた。この講義では、そのような時代に描かれた妖怪をテーマした浮世絵を手がかりに、たった一枚の絵であっても、その内容を読み解くことがいかに難しいかを学ぶとともに、その解読を通じて浮かび上がってくる江戸の庶民文化の一端を覗いてみることにしたい。

 

 

講義4

劉建輝「制度の歴史から感情の歴史へ―画像資料でたどる日本人の「満洲」幻想」

要旨:

日露戦争後、大連をはじめとする新たに獲得した権益の土地を目指して多くの日本人が中国の東北部に移住した。その数は終戦時の統計で言うとおよそ150万人にも達している。従来、この日本人移民の問題を取り扱う時、ほとんどの研究が主に政策や制度、または軍事や経済の側面からこれを考察してきた。しかし、はたして政府の政策や勧誘だけでこんな大規模の移住を実現することができたのだろうか。本講義では、日露戦争以来刊行されたさまざまな地図や旅行案内図、絵葉書などを素材に、これらの表象がいかにいわゆる「満洲」への幻想を作り上げ、そしてその幻想がいかに多くの国民をこの「新天地」に赴かせたかについて検証し、従来の政策や制度史だけに偏る方法論を正し、あわせて画像資料の歴史研究における有効性も実証したい。

 

 

講義5

安井眞奈美「出産の習俗と怪異伝承―うぶめの絵を手がかりに」

要旨:

18世紀、日本でさまざまな妖怪が描かれて人気を博した頃、妊娠中・出産時に亡くなった女性の妖怪であるうぶめ(産女・姑獲鳥)も描かれるようになった。妖怪画は、江戸時代に妖怪を娯楽の対象として楽しむようになった大衆文化の一端を表しており、その中でうぶめの絵は、当時の出産・産後の習俗を示す資料としても読むことができる。この講義では、妊娠から出産、産後にかけての習俗や伝承を紹介し、生児を産み育てていくことが難しかった時代に、人々がどのような知恵や工夫をもって生き抜こうとしてきたのかを読み解いていく。あわせて、近代から現代にかけて、出産のあり方が大きく変容する中で、出産の習俗や、人々のいのちに対する意識がどのように変わってきたのかについても考察したい。

 

 

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