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Ⅰ. 古代・中世

「古代・中世」班では、中世以前の時代を中心的な対象とするが、その時代相や、古典世界における大衆性及び日本文化の基層の問題を分析する中で、前近代の文化世界に底流する現代的・国際的な意義や位置づけまでを多面的に捉えたいと考えている。
物語伝承や絵巻・絵画形象の世界やその拡がりの研究を一つの軸としつつ、言語文化や歴史の教育、現代語訳・翻訳の問題などをも視野に入れ、古典世界と現代性、大衆性、国際性の問題を総合的に考察したい。
そのために、研究チームは、日文研共同研究「投企する古典性―視覚/大衆/現代」と一体的な連携を図り、プロジェクトの全四班の協働のもと、より広いパースペクティブで、新しい日本像の探求と創出の実現を目指す。

(代表・荒木浩 国際日本文化研究センター 教授)

古代・中世班代表からのひとこと

『源氏物語』の文化について論じるある会議で、『源氏』の絵画化について議論になりました。
どこまでを『源氏物語』という作品に直結するものとしたらいいのでしょうね?
絵画と物語本文がセットになったものに限定したほうがいいでしょう。そうでないと、西洋の聖書の絵画化と同じになっちゃいますよ。西洋の美術館では、半分が聖書に関する絵画みたいなものですから。
こんな意見が出ました。『源氏物語』は、絵巻や一枚ずつの源氏絵から、屏風や調度の装飾、江戸時代以降のパロディ化などなど多様に絵画化されていて、無限に対象が広がるのです。
印象に残る象徴的なエピソードです。『源氏物語』は作者匿名で、当時の教養の主流の漢文ではなく、仮名の文字で書かれたローカルチャー。貴族女性にとっては、消閑の慰みもの。消費されて消えていく、ポピュラーカルチャーだったはずの作品なのです。それが千年以上の生命を保ち、世界最古の長編小説などと讃えられ、聖書の文化になぞらえられようとするというのですから。
古代・中世班では、こうした古典の持つ大衆文化的可能性を、より広く、また現代的かつ国際的な視点で捉えていきたいと思っています。

代表者:荒木 浩

メンバー

稲賀繁美(国際日本文化研究センター教授)
呉座勇一(国際日本文化研究センター助教)
石上阿希(国際日本文化研究センター特任助教)
伊藤慎吾(国際日本文化研究センター客員准教授)
今井 秀和(国際日本文化研究センター機関研究員)
金容儀(国際日本文化研究センター外国人研究員)
Galia Todorova Petkova(国際日本文化研究センター外国人研究員)
TRAN Thi Chung Toan(国際日本文化研究センター外国人研究員)
Gouranga Charan Pradhan(総合研究大学院大学大学院生)