ページを選択

近代班 H29年度共同研究会③レポート

近代班 H29年度共同研究会③レポート

研究代表者:細川周平
開催日時:平成29年10月14日(土)・15日(日)
開催場所:国際日本文化研究センター第5共同研究室
参加人数: 30名+オブザーバー若干名
報告:

今回は土曜日はアート関係、日曜日には書評といういつもの研究発表とは異なる内容の集まりとなった。まず久保田晃弘(多摩美術大学)は今年の8月から10月上旬まで開催されていた札幌国際芸術祭2017に出品した「全知性のための彫刻」について実際の映像を見せながら説明した。これは地球外知性との何らかの接触があった際にこの地球がどのような星か伝えるにはどうすればよいのか、という着想から始まり、生命のかたち、知性、頭脳、進化、重力、幾何学などを宇宙も含めて普遍的に描こうというプロジェクトだった。そのなかには宇宙の電磁波を用いたラジオの音を聴くコーナーもあった。ポール・デ・マリーニス(スタンフォード大学芸術学部)は80年代よりサウンドやメディアを用いたアート作品で国際的に知られ、時代遅れとなったメディア、テクノロジーをまったく別の使い方をして、その歴史を思い出させようという作品群(よくメディア考古学の具体化とされる)で知られる。学生時代からの半世紀の制作歴を非常に分かりやすく図解してくれ、集まった学外の数名のアート関係者との議論も盛んだった。
二日目は渡辺裕『感性文化論』(春秋社、2017)をめぐる討論会で長門洋平(京都外国語大学非常勤講師)が本の前半、1964東京オリンピックの記録映画の映像と音にかんする記述にドキュメンタリー映画分析の知見を加えて小さな異論を唱えた。金子智太郎(東京藝術大学助教)が本の後半の特に東京日本橋景観をめぐる章を多くの図版を参照しながら読み直し、「環境」の語が1968年ごろを境に社会的に広く用いられ、その意味を変えたことを語った。議論は政治闘争や現代音楽の潮流などに及び、『感性文化論』の刺激を消化した。

サブカテゴリー

研究班

月別アーカイブ