近世班2019年度第2回研究会レポート
研究代表者:小松和彦
開催日時:令和2年1月11日(土)
開催場所:国際日本文化研究センター 第一共同研究室
参加人数:59名
近世班第2回研究会は、国際拡大研究会として、シンポジウム「怪異・妖怪研究の新時代―日文研共同研究を礎に―」が催された。
冒頭、班長である小松和彦(日文研・所長)から出席者に向けて、今回のシンポが約20年にわたって日文研で行われてきた怪異・妖怪に関する共同研究の総決算に当たるという趣旨説明が行われた。
続く第一部では、「怪異・妖怪研究の新時代―回顧と展望―」として、内と外の立場から共同研究の回顧と展望する報告が行われた。報告者は、常光徹(国立歴史民俗博物館・名誉教授)と山田奨治(日文研・教授)であった。
第二部では、「怪異・妖怪DBの創造―妖怪プロジェクト室かく闘えり」として、怪異・妖怪プロジェクト室に在籍し、データベースの構築・運営に関わってきたメンバーによる報告と討論が行われた。山田教授を総括・司会に、真鍋昌賢(北九州市立大学・教授)、松村薫子(大阪大学・准教授)、永原順子(大阪大学・専任講師)、飯倉義之(國學院大學・准教授)、中野洋平(島根県立大学・講師)による報告が行われた。
第三部では、「日文研と妖怪と私」として、日文研共同研究への参加が自身の研究にどのような影響を与えたのかについて報告が行われた。安井眞奈美(日文研・教授)を総括・司会に、香川雅信(兵庫県立歴史博物館・学芸課長)、佐々木高弘(京都先端科学大学・教授)、近藤瑞木(首都大学東京・教授)、横山泰子(法政大学・教授)、マティアス・ハイエク(パリ大学・准教授)が報告を行った。
その後、安井教授を司会として、総合討論が行われた。参加者からは、中国や韓国、インドなど海外の研究者から見た日本妖怪研究について、また共同研究に参加した立場から20年の日本の妖怪文化の変化についてなどの意見が出された。
最後に小松所長が次のように感想を述べた。20年前妖怪は周縁的な存在であったものが、注目され、研究やデータベースが評価されたことによって、周縁的ではなくなりつつある。また、多くの人たちが刺激を受け、新たな妖怪文化を生み出していくなかで、妖怪の変質が起きている。そうした中で、これからの怪異・妖怪研究がどのように展開していくのかを見守りつつ、研究に励みたい。