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【レポート(近代班画像班分科会)】共催シンポジウム「大正イマジュリィ学会」第44回研究会 第8回国際シンポジウム「戦間期東アジアにおける大衆的図像の視覚文化論」

【レポート(近代班画像班分科会)】共催シンポジウム「大正イマジュリィ学会」第44回研究会 第8回国際シンポジウム「戦間期東アジアにおける大衆的図像の視覚文化論」

大衆文化研究プロジェクトの画像班分科会では、近代日本における大衆的図像資料についての研究活動の一環として、大正イマジュリィ学会との連携活動を開始しました。今回は、大正イマジュリィ学会・広告レトリック研究会主催により8回目を迎える国際シンポジウム「戦間期東アジアにおける大衆的図像の視覚文化論」に共催として加わり、日文研からは劉建輝副所長が「日本人画家による支那服表象の系譜」という講演及びパネルディスカッションのディスカッサントとして参加しました。

このシンポジウム・シリーズでは、戦間期の東アジア文化圏において、同一の日本製ブランドが異なった表象の仕方によって広告されているという事実に注目し、日本企業がそれぞれの文化圏の大衆に、どのような手続きや言語的・視覚的手法により商品の消費するよう促したかについて、各国の研究者に参加いただき、その調査研究の発表と議論を行っています。

今回は、佐藤守弘・京都精華大学デザイン学部教授の司会により、岸文和・同志社大学文学部教授によるシンポジウムの趣旨説明を兼ねた「京城(ソウル)三越のメディア戦略:1930年10月24日の場合」の発表の後、劉教授の講演においてチャイナドレス表象が意味するものとその読み解きの枠組みが提示されました。そのうえで、孫秀蕙・台湾国立政治大学広告系教授による「『盛京時報』における医薬広告の絵画記号論的研究」(満州の新聞広告の事例)、姚村雄・台湾国立高雄師範大学視覚設計系教授・芸術学院院長による「日治戦争期間(1918-1939)の商品広告における台湾図像について」(台湾の新聞広告の事例)、湯筠氷・中国復旦大学芸術設計系准教授による「『華文大阪毎日』の広告に関する視覚文化論」(大阪で編集され満州で発行された雑誌広告の事例)、そして、田島奈都子・青梅市立美術館学芸員による「民国期中国のヴィジュアル・デザインに見る外国作品からの影響」(上海の大衆雑誌のデザイン)の発表が行われ、豊富な図像資料をもとに様々な角度から日本製商品広告のビジュアルイメージについての検討がされました。パネルディスカッションでは、戦間期から大戦期にいたる「帝国(日本)」をいかにとらえるかという議論を踏まえた上で、各自の発表についての意見交換や、大衆的図像とグローバルな政治・経済の文脈との関係性をいかに捉えるべきかについてなどが議論されました。最後に、岸教授より、東アジアという地域、歴史的推移、領域横断する表現、highとlowという文化の関係や「大衆」の力学に目配りするという共通の方向性を踏まえた上で、共同研究の連携を進めていきたいとの挨拶にて締めくくられました。若手研究者が通訳・翻訳に奮闘しながら、共通のテーマにて各国における研究の交流を深めることができた点においても意義深いものとなりました。

(前川志織・国際日本文化研究センター特任助教)

↓プログラムのPDF↓

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