2017.7.29近世班 H29年度研究会①/シンポジウムレポート
研究代表者: 小松 和彦
開催期間: 平成29年7月29日(土)
開催場所 :国際日本文化研究センター 日文研ホール、第3共同研究室
内容成果:
近世班の2017年度第1回研究会は、前半を日文研ホールにおける日文研シンポジウム「妖怪データベースからの創造―公開15周年記念シンポジウム」(主催:日文研、後援:近世班)として、後半を第3共同研究室における近世班「総合討論」として開催した。またシンポジウムに先立ち、希望者による日文研妖怪資料閲覧会を図書館にて行った。
シンポジウム冒頭の、小松和彦(日文研 所長)による基調講演「妖怪データベースは役に立ったか?」では、近年の妖怪研究において日文研の妖怪DBが果たしてきた役割が示され、またDBに関する今後の課題についても問題が提起された。山田奨治(日文研 教授)の報告「妖怪データベースの使われ方」では、研究利用のみならず商業利用においても妖怪DBが用いられていることが解説され、またAIによるDBの実験的利用法も披露された。
続くパネル討論「妖怪研究から文化創造へ」では、パネリストとして峰守ひろかず(小説家)、伊藤慎吾(日文研 客員准教授)、松村薫子(大阪大学 准教授)、郡司聡((株)KADOKAWA 執行役員)を迎え、それぞれ、実作者としての創作へのDB利用(峰守)、妖怪辞典や妖怪小説の動向を踏まえた上でのDBの位置付けや影響関係の整理(伊藤)、日本各地の妖怪地域興しにおけるDB利用実態の報告(松村)、過去20年ほどの日本出版界における妖怪の取り扱いの変化やDBとの関わり(郡司)といった報告が為された後、安井眞奈美(日文研 教授)が司会を担当して、以上のように多岐に渡るジャンルのパネリストが相互に意見や質問を交わす積極的な討論が行われた。当日の全体進行は今井秀和(日文研 機関研究員)が担当した。
シンポジウム終了後、会場を移しての近世班「総合討論」では、シンポジウムにおける各報告や、パネル討論において議論された様々な内容および、そこで提示された新たな視点を踏まえた上で、より専門的なディスカッションが展開され、今後の近世班の方針や、DB に求められていることと実現の可能性などについて、多角的な議論が為された。「総合討論」に参加した近世班のコメンテーターは以下の通りである。香川雅信、木場貴俊、近藤瑞木、徳永誓子、永原順子、福原敏男。
【出席者】
名前 所属先名 職名
小松和彦 日文研 所長
山田奨治 日文研 教授
安井眞奈美 日文研 教授
峰守ひろかず 小説家
伊藤慎吾 学習院大学/日文研 講師/客員准教授
松村薫子 大阪大学 准教授
郡司聡 (株)KADOKAWA 執行役員
今井秀和 日文研 機関研究員
石上阿希 日文研 特任助教
香川雅信 兵庫県立歴史博物館 主査/学芸員
木場貴俊 甲南大学 非常勤講師
近藤瑞木 首都大学東京 准教授
徳永誓子 岡山大学 准教授
永原順子 大阪大学 助教
福原敏男 武蔵大学 教授