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近代班 H30年度第1回共同研究会 レポート

近代班  H30年度第1回共同研究会 レポート
研究代表者 細川周平
開催日 平成30年5月4日~6日
場所 浜松市
参加人数 14名  (細川周平+共同研究員13名)
【レポート】

 

「音響と聴覚の文化史」班はこの5月4日から6日にかけて、浜松にて開催された。主な目的は(1)浜松まつり見学、(2)楽器博物館見学、(3)大衆演劇見学だった。5月4日13時にアクトシティ浜松にて集合し、比較的安価で簡便な三つの大衆楽器の受容史を概観した細川周平「周辺楽器の日本定着(明治から敗戦まで)―マンドリン、アコーディオン、ハーモニカ」、『日本のピアノメーカーとブランド』の著作をパワーポイントで図解した三浦啓市氏による「日本のピアノメーカーとブランド」の二講演の後、浜松楽器博物館を自由見学した。閉館後、『浜松ピアノ物語』の著作を持つ嶋和彦館長より、楽器の町としての浜松の歴史と自覚、博物館創設の事情、コレクションの特徴などについてのレクチャーが持たれた。夕食後は市内にて町内会ごとに置かれた屋台の引き回しを自由見学した。

翌5日午前は中田島砂丘にて初午を祝う凧揚げ合戦、糸切り合戦を見学し、ラッパ隊が町衆と観客の祭り気分を盛り上げるのを見届けた。道すがら、明治に軍楽隊より導入されたラッパが消防隊など公機関を経て市民の手に渡る歴史が、町衆ラッパ隊に所属する奥中康人班員より解説された。午後、舘山寺温泉に移動した。

翌6日午前には浜名湖オルゴールミュージアムを見学し、自動演奏のピアノやオルガンや演奏人形も含めた展示を見た。地元コレクターの音響品の収集がこうして公共的文化財になる例は他にもあると数名の班員が話し合った。午後にはサゴーロイヤルホテルにて大衆演劇「劇団美山」を見学した。過半数の班員にとって初めての大衆演劇観劇で、第一部の時代劇の部分はもちろんのこと、第二部歌謡ショウのパートのデジタル音源とその場の音響機器の利用で作られる巨大な音響構成の美学に話は弾んだ。

このように2泊3日の所外研究会は祭り、楽器、自動楽器、演劇、流行歌など大衆文化に関わる多くの実見聞を含むプログラムを実施することができ、大変有意義であった。(細川周平)